まずはじめに
この記事は就職活動を控えた高校生のお子様をお持ちの保護者様向けに書いています。
大卒・高卒問わず、就職活動は学生にとっては人生最初の試練であると見て間違いありません。
学生というサービスを受ける立場から、社会人というサービスを提供する立場へと変化することが求められます。当然ながら高校生にとっては初めて自分の人生に対して真剣に向き合う機会であり、その過程の中で今まで経験したことが無いような苦労や悩みに直面することになると思います。
無事に就職活動を乗り越えて社会人としての第一歩を踏み出すためには、保護者の皆様を始めとする数多くのサポートが必要不可欠となります。このページでは高卒採用市場の現状と就職活動に挑む高校生に対して、どのようなマインドで接するべきかをお伝えさせていただきます。
現在の高卒採用市場について
保護者の皆様は現在の高卒採用市場についてどの程度ご存知でしょうか。
厚生労働省の発表によると、「2017年3月卒業予定の高校生の求人倍率は、7月末時点で前年同期比0.21ポイント増の1.75倍となり、1994年卒の1.98倍以来23年ぶりの高水準で6年連続で上昇傾向にある」との調査結果を発表しています。
また、厚生労働省は、景気の回復基調が企業の人材採用の活発化を後押ししているという見解を述べています。つまり、現在は「超売り手市場」となっており、学生目線から見れば比較的内定を獲得しやすい市場状況になっていると言うことが出来ます。
とはいえ、油断は禁物です。
なぜならば「採用人数を充足できなくても採用基準は緩めない」というスタンスの企業が全体の約半数を占めると言われているからです。就活生にとってはかなり厳しいこの方針の背景にあるのは、かつて人数を確保するために闇雲に採用を行ったバブル時代の反省があります。それが、現在の高校生・大学生たちの就職活動に影響を及ぼしているのです。
現在の高卒採用市場を悲観的に捉える必要はありませんが、油断をせずにしっかりとした準備を行うことは必要不可欠といえます。採用市場についてお伝えしたところで、次に本題の就職活動性を持つ保護者の心得についてお伝えさせていただきます。
就職活動生を持つ保護者の心得
その1:過保護になり過ぎない
お子様の事が心配になる気持ちも分かりますが、過保護になりすぎることは厳禁です。
具体的には、選考のスケジュール管理を保護者がやっていたり、企業や学校への連絡を保護者が代わりに行っていたりする場合です。昔から「可愛い子には旅をさせよ」ということわざがあるように、親元を離れて苦労を経験するからこそお子様は成長するのです。
全てお子様に任せっきりなのは問題ありますが、なるべくお子様の自主性を重んじるようにしましょう。
その2:意思決定に関わり過ぎない
進路決定のアドバイスはしてあげるべきですが、最終的な意思決定に保護者が踏み込むのは厳禁です。
意思決定にまで保護者が踏み込むと入社後のミスマッチが起こりやすく、最悪の場合お子様の早期退職にまで発展してしまう可能性があります。そのような観点からもお子様自身が自分の進路選択に責任を持ち、最終的な意思決定を下すという場を設けることが必要です。
本人が納得した上で入社するからこそ、仕事が辛い場面でもがんばれるものです。お子様が意思決定で悩んでいる時は優しく見守りつつ適切なアドバイスをしてあげることを心がけましょう。
その3:無関心になり過ぎない
先ほど、過保護になり過ぎるのも問題があるとお伝えしましたが、その逆で無関心になりすぎることはそれ以上に問題です。
「放任」することと、「放置」することはまったく持って異なります。前者はお子様に対して関心を持った上で敢えて任せているという意味ですが、後者はお子様に対して全く関心を持たず、ほったらかしにしているという意味です。
就職活動において保護者は常に「放任」のスタンスでいなければならないのです。「親がしっかり見てくれている!」という様子が伝わることでお子様は安心して困難に立ち向かうことが出来るのです。
基本的にはお子様自身に考えさせつつも、一人で行き詰っている時には助け舟を出すというスタンスを意識してみてください。
その4:自分世代の考え方・価値観を押し付けない
これも就活生の保護者がついついやってしまいがちなことといえます。
ご自身の時代の就職活動のあるべき論をお子様に押し付けてしまうのです。
現在の就職活動は保護者様が経験されたものとは全く異なるので、当時の常識は全く通用しません。
間違った価値観をお子様に押し付けてしまっては本来うまくいくはずのものも、うまく行かなくなる可能性があります。
最近のニュースを見れば、世界に誇る日系大手メーカーの業績不振・リストラ騒動、終身雇用制度の崩壊、東大生のベンチャー企業就職など、当時の常識からは考えられないような出来事が次々に起こっています。
当時の常識を現在の就職活動に当てはめてしまってはお子様の人生を狂わせる可能性さえあります。また、保護者の価値観がお子様の意思決定に入り込んでしまうと彼らのストレスとなり、判断を鈍らせることにもつながります。
アドバイスをする以上はしっかりと最新動向を調べた上で、間違いがない様に伝えることを意識しましょう。
その5:悩んでいる時は徹底して相談役に徹する
お子様が明らかに悩んでいる時は徹底して相談役に徹してあげましょう。
ここでのポイントは過度に心配性になりすぎないことです。
お子様の自主性を育むためにもここぞという場面で相談に乗ってあげることが大切です。
相談に乗ってあげる際には親御様から考え・意見を伝えるというアプローチではなく、お子様が悩んでいることを整理して自分で解決に向かえるよう手助けをしてあげるというアプローチが有効です。就職活動の主役はお子様なので、彼ら自身が自分で答えを見つけ出すしかないのです。
その6:親目線から見た長所・強みを教えてあげる
お子様の性格を最も理解しているのは間違いなく保護者です。
なぜならばお子様の素の姿というのは最もリラックスしている家庭内でこそ出やすいからです。
「家ではいつもぐだぐだしているのに、外ではしっかりもので頼りになる」なんてお子様も案外多いものです。
だからこそ、保護者が感じるその子の長所というのは的を得ている場合がほとんどです。
気づいた長所はどんどん伝えてあげるようにしましょう。ただし、短所・弱みを伝えるのは基本的には控えましょう。
5つ長所を伝えて、1つ短所を伝えるくらいがちょうどいいと思います。
さいごに
いかがだったでしょうか。
お子様が就職活動を成功させるには御両親様のサポートが必要不可欠です。
お子様の自主性を重んじながらも、彼らが答えを見つけるための手助けをしてあげてください。
無事に就職活動を乗り越えたお子様は一回りも二回りも逞しくなっているはずです。
子供の成長を肌で感じることが出来る就職活動は保護者の皆様にとっても貴重な経験となるはずです。
ご子息様の就職活動が成功に終わることを心よりお祈りしております。